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痛み、痒み、脱出、出血などの肛門症状に対しては腹部診察に次いで肛門診察を行います。左横に寝て専用のバスタオルを腰にかけますので中でズボン、下着をお尻がでるだけ少し下ろします。まず、麻酔ゼリーをつけて示指にて肛門内を診察しますが、若い方は肛門の括約筋がしっかりしているので申し訳ありませんが、診察を少し痛く感じます。ツーンとした感じは段々と遠のいて行きます。次いで、親指くらいの太さの肛門鏡で直腸粘膜、内痔核、肛門管、外痔核と観察し撮影します。多いのは息んで排便した後の血豆の痔(血栓性外痔核)、出産後の前方の皮垂(外痔が退いた後の皮のたるみ)、肛門管内外痔核、シャワートイレ症候群、シャワートイレ嫌い症候群、過敏な兆候や慢性下痢に伴う肛門周囲膿瘍と痔瘻などです。
脱肛の嵌頓は脱出した痔が括約筋で締め付けられてさらに浮腫むので、少し痛みますが診察時にその場で嵌頓を解除して戻した状態を維持します。血栓性外痔核は血豆ができたばかりはとても痛いので、血豆を切開して破ると圧力が解除されて痛みが楽になります。腫れが強いものは5日ほどで自然に破れて出血して自潰することがあります。固くなった血栓は吸収されて触らなくなるまでに1ヶ月以上かかります。出産後の前方の皮垂は保清を保って息んで再度腫れないように便秘をしないようにしましょう。シャワートイレは緩い圧力でシャワシャワと洗って軽くポンポンと拭きましょう。飲酒や刺激物によって下痢をし易いと肛門の粘液腺に便汁が逆流して炎症を起こして膿が溜まって腫れます。これが肛門周囲膿瘍で、炎症が強くて発熱したり座れないほど痛みが激しい場合には、診察に続いて局所麻酔をしてから切開して膿を出します。場合によっては自然に自潰して膿がでます。何れの場合も下痢便が続いて汚れが供給され続けると結果として血膿が出続け、これが続くと瘻孔が出来上がり痔瘻になります。最近は若い男性のプロテインの摂取において多い印象です。
これら肛門症状の改善のための共通する基本は食事・生活・排便習慣の改善が一番で、排便習慣が安定すると結果として肛門症状は必ず良くなります。特に便秘勝ちの方は硬い便で息張らないようにしましょう。一方で普段から便が緩過ぎて排便回数が多い方にとっては、軟便に伴う息み癖の悪循環を断ち切り、便意をやり過ごすことが大事です。下部直腸粘膜は圧力装置のため、水便が残ったり、息んで弛んだ直腸粘膜が脱出して傷つくと、排便スイッチが押された状態になって便がなくても便が出たい様な便意を催すため、出ない便を絞り出すように何度も文字通りトイレで息むことになり、さらにお尻のうっ血と弛みが増悪してしまいます。この悪循環を断ち切るためには、便の出ない便意をやり過ごすことが大切です。
このような食事、排便習慣が改善されない場合には、たとえ手術をして一旦は良くなっても後に残った他の部位に同様の変化を繰り返すことになってしまいます。考え方としては、お尻の症状は常に悪くなるものと考えて対処された方が良いでしょう。悪くならないようにいつも生活に配慮するのが良いでしょう。
なぜならば、重力と腹圧の物理的な影響の足し算が結果としてお尻に現れるからです。重力とは、立ちっぱなし、座りっぱなし、かがみ仕事などの日常の職業上の仕事内容や作業姿勢あるいは丸一日子供のサッカーの応援やマラソンや長距離自転車などの休日の過ごし方と関係があります。腹圧とは、最たるものが女性の妊娠・分娩出産でとても大きな力が加わり、男性では力仕事、筋トレなどで、共通するのが硬い排便時の長いトイレの息み圧力、飲酒後の頻回の短時間の激しい下痢による圧力などです。
重力の軽減方法は、単純に臥位を取ることです。浮腫んだ脚が一晩寝て治るのと同じ理屈です。対処としてお尻が腫れたり痛い時には、立ち仕事の方はこまめに休憩をとって座ったり、座り仕事の方はこまめにおしりを浮かせてお茶をしたりトイレにいったりしてお尻のサンドイッチ状態を解放します。休日はごろごろ横になってのんびりと過ごすと、お尻の浮腫みも吸収され易く痛みの引きも早いでしょう。ただし、痔の症状に加えて血便を伴う方は、痔の出血と同時の大腸からの出血を鑑別することが難しいために、大腸の精密検査が必要になります。
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