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月見の里・消化器内視鏡クリニックです。

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血便

〇血便、下血


  下血、血便としてお尻から血が出たと受診して頂く場合は多くあります。肛門からの出血は、特に始めて経験する場合にはとてもびっくりして心配になってしまいますが、ほとんどの場合は少量の血液なので、慌てないで相談に来て頂ければ大丈夫です。

 まず、最初に問題になるのが出血の量で、便時に鮮血が紙に着く程度から赤黒いドロドロの塊が排出されるまでさまざまですが、原因に関わらず急に出血して量が多い場合は、貧血に陥って気分が悪くなったり、血圧が下がって立ち眩みがしたり、トイレで排便後に意識が無くなって倒れてしまうことがあります。この時の心配な目安は、腹痛の強さにかかわらず一度に出る出血の量が明らかに多い、黄色い便が出なくて赤い血だけ出る、ドロドロ何回もトイレに行きたくなる、などです。腸の中は圧力装置なので内容物があると便意を催します。出血が持続しているときは、便が出た後も腸の中に血液が溜まるために、何度もトイレに行きたくなります。鮮やかなサラサラした血液やドロドロした血の塊がトイレに行く度に出る場合には注意します。フワフワして顔が真っ白になり吐き気がして気分が悪い、血圧が持続的に下がったり極端に脈が速くなったり遅くなったりする場合には、救急車を呼んで下さい。元々下痢をしており、便の回数は多いものの水様で薄いピンクの場合には慌てないで相談して下さい。出血の量が多くなかったり、既に血が止まっている場合には、停滞した血液は黒っぽくなるために血便は鮮血ではなく小豆色や暗赤色と黒っぽくなります。間隔が空いた後の少量のねっとりした赤黒い便は慌てないで相談して下さい。ただし、シャビシャビした赤黒い便が続いて出る場合は、出血が止まっていても出血の量が多かった可能性があるので、要注意です。いずれも来院して血圧測定、腹部診察の上、肛門診察を受けて頂きます。肛門診察によって便の性状や量を観察して診断を行います。

 軽い裂肛のように鮮やかな血が少量紙に着く程度の場合、はっきりした裂肛で排便時に硬くて息んでピリッと鮮血で便器が染まったもののその後は肛門がツーンと痛くても便意も催さない場合、虚血性大腸炎のように比較的高齢者で冷や汗が出るほどの腹痛で下痢をしたのち3回目から赤黒い血便が少し出て何度か続いているが間隔も遠のいてきて量も減ってきた場合、憩室出血のように便秘も下痢も腹痛もないが鮮やかな赤い血のドロドロが 1-2度出てその後は遠のいている場合、これらの場合は原因に関わらず出血量が多くないと思われるので慌てないで来院して下さい。出血量が多いと何度も便意を催します。冷や汗が出て気が遠くなる程の腹痛で下痢をしたのち赤黒い血便が続いており間隔も長くならず腹痛も続いている場合、便秘も下痢も腹痛もないが鮮やかな赤い血のドロドロが続いており間隔も長くならず量も減る感じがない場合、そして立ちくらみや倦怠感があり顔色が青白くなった場合などには出血量が多く意識を失うこともあり得ますので救急車を呼ぶなど救急対応が必要になります。

 比較的若年者の便器が赤く染まる程の血便で頻度が多いのは排便に伴う裂肛です。切れ痔と言われ便秘に伴う硬便の排出や激しい下痢によって肛門管の粘膜が裂けることによって出血して通常は肛門に痛みを伴います。比較的若年者は肛門括約筋がしっかりしているため切れやすく出血し易いものの、直ぐに圧迫止血されてしまい診察時には出血や裂肛が確認できないことがよくあります。また、裂肛と診断できても深部の大腸からの出血を否定することはできないために、特に年齢が大きい方にはやはり大腸カメラ検査が勧められます。

 血便をきたす疾患の中で多く見られるのが虚血性大腸炎です。便秘がちの高齢女性に多く繰り返すことがありますが、中年女性にも見られます。便秘での息みや下剤の内服や、激しい下痢によって左下腹の大腸に強い収縮が起こると冷や汗が出でて気が遠くなる程の強い腹痛を覚えます。腸管は外側に筋肉があり内側に粘膜があるために強い外側の筋肉の収縮によって内側の粘膜に血が行かなくなって阻血になり、収縮が緩んで再度血液が流れたときに傷んで弱い粘膜から出血をきたします。そして、当初は下痢便が出ますが、何度かトイレに行くうちに赤い血便が出ます。便が出なくても出血だけ出たくなることもあります。多くの場合は食事をお休みして腸を休めて水分をしっかり摂取して脱水にならないようにすれば数日で保存的に軽快しますが、血便の量が多く腹痛が続くときには入院治療が必要になることがあります。

 若年者にも時にみられるのが、憩室出血です。腹痛も下痢もないものの急に赤い血便をきたし多くの場合は自然に良くなりますが、腸は自然に蠕動で動き圧迫止血がされないために、時に出血が続き輸血が必要になることもあります。大腸の憩室は右側の上行結腸と左側のS状結腸に多く見られ、粘膜を栄養する血管の貫通部が筋肉がないために広がって穴になってできると言われており、そのため憩室が炎症を起こして血管が破綻するととても止血し難い場合があります。この場合には緊急に大腸カメラ検査を施行してクリップなどによる止血術が必要になります。

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