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ピロリ菌は、発見者のマーシャル博士が2005年にノーベル賞を受賞したことによって広く知られるようになりました。ピロリ菌は多くの場合に5歳以下の免疫力が弱い時に母親からの離乳食の口移しや井戸水の摂取などによって胃に感染すると言われ、胃炎を引き起こすことによって胃痛、ムカつき、胃もたれなどの症状をきたし、長年に渡って胃が荒れ続けることによって胃がんのリスクが高まると言われています。その他にも消化器系以外の病気の原因になることもあります。
ピロリ菌の感染状態は、一度も感染していない未感染、現在感染している現感染、感染していたが除菌治療により退治されたり胃が荒れすぎてピロリ菌も住めなくなった既感染に分けられます。このうち現在ピロリ菌が胃に感染している現感染が除菌治療の適応になります。まず、胃カメラ検査によって現時点で胃炎はあるものの胃潰瘍や胃がんが無いことを診断します。同時に、息を吹くだけの尿素呼気試験、血液検査の抗体測定、胃カメラ時に胃の粘膜の反応を調べる迅速ウレアーゼ検査などでピロリ菌の感染状態を診断します。
現在ピロリ菌が胃を荒らしている現感染の場合には、味覚障害やペニシリンアレルギーがないことを確認して、決まった複数の除菌薬のセットを1週間だけ内服します。その後、間を空けて再度尿素呼気試験を行なって除菌できたことを判定します。一次除菌できていなかった場合には、2番手の薬を使い二次除菌を行います。除菌に成功したらもう胃がんにはならないというわけではないので、萎縮性胃炎といい胃が荒れた程度に応じてその後も胃カメラ検査は必要になります。
この時ピロリ菌の話題をお母さんや御姉妹と是非お話ししてみて下さい。お母さんにピロリ菌が居た場合に子供たちに必ず感染るというわけではありませんが、その話題をきっかけに癌が心配される年齢の方は胃カメラ検査を受けることによって、ピロリ菌を早期に除菌できたり、時には症状のない早期胃がんの発見につながることがあります。子供さんがまだ小さい場合には、感染の有無を尿検査で調べて暴露期間の短い出来るだけ早期に除菌薬を飲むという考えもありますが、副作用のリスクもありますので大人になってから自身で判断されるのが良いと考えられます。
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